学術変革領域研究 2.5次元物質科学


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領域概要

領域の目的

物質科学は、半導体デバイスの興隆から現在のIoTの発展に至るまで社会を支える重要な礎となってきた。これまでは主として化学結合(結合生成)や物理成長(エピタキシャル成長等)を制御することで新たな物質が作り出されてきた。一方、近年注目されているグラフェンを始めとする二次元物質は、材料や角度を任意に制御しながらファンデルワールス相互作用で積層できることから、従来の結合の概念を超えた物質創製の手法を与えるものである。さらに、積層した二次元物質の層間には特異的な二次元ナノ空間が存在し、新奇な物理現象の発現や物質創出の場となり得る。本研究領域では、多種多様な二次元物質に、上記の「集積の自由度」と「二次元ナノ空間」という新たな考えを導入した「2.5次元物質科学」を提案し、物質科学を大きく変革する研究を展開することを目的とする。2.5次元というユニークな視点に立って学術研究を展開し、世界を先導する成果を得て、学問に大きなブレークスルーをもたらすとともに、先進的な応用研究を通じて、将来の社会変革につながるシーズを創出していく。

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領域の内容

上記の目標を達成するため、本研究領域を構成する五つの計画グループ(物質創製(A01)、集積化(A02)、分析(A03)、物性開拓(A04)、機能創出(A05))間の活発な共同研究により、「2.5次元物質科学」という新たな学理を構築する。グラフェン、遷移金属ダイカルコゲナイド、六方晶窒化ホウ素、超伝導体、磁性体、トポロジカル絶縁体、有機単分子膜などの多様な二次元物質の高品質膜成長・ウェハー合成などから、ロボット積層装置を用いた二次元物質の集積化や分子・イオンの層間へのインターカレーションなどを駆使して様々な2.5次元物質を作り出していく。特に、二次元物質の組成や角度が制御された積層構造で生じるモアレ超格子の物理といった新たな学術を展開する。同時に、極めて薄い2.5次元物質に適用可能な高感度・高分解能を備えた分析法の開発も推し進める。さらには、高効率発電、超低消費電力トランジスタ、高密度二次電池、フレキシブルデバイスなど、2.5次元物質の特徴を活かした応用研究も展開する。
領域独自の試みとして、ロボット積層装置、物質合成装置、高度分析装置を領域内の共同利用拠点として整備することで領域内の連携を促進し、研究の進展を加速する。

  

2.5次元物質科学

高品質で多様な二次元物質の創出
ファンデルワールス力を自在に制御した物質創製
特異的な二次元ナノ空間に基づく科学
二次元物質を実社会(三次元)へ応用

1 新物質・高結晶合成
新二次元物質や高結晶ウェハー合成


多彩な物性を示す新物質
積層のビルディングブロック

2 ファンデルワールス積層の科学
物質の多様性×積層などの自由度


常識にとらわれない物質の実現
新奇物性の発現・学理の構築

3 二次元ナノ空間の科学

二次元物質に挟まれた特異な空間

特異構造・異常物性・新物質創製
インターカレーション

4 機能発現・応用の推進

超低消費電力デバイス、太陽電池、
高容量二次電池、フレキシブル

物質科学から社会に貢献

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期待される成果と意義

物質のファンデルワールス力を自在に制御し、そこで作られる空間も利用しながら新しい物質を創り出すという斬新な発想を「2.5次元物質」と象徴的に表現して領域研究を展開する。これにより物質科学にパラダイムシフトをもたらし、幅広い学術分野に大きな波及効果を与えることが期待できる。同時に本研究領域での若手研究者への積極的な支援が、次代を担う優れた人材の育成につながる。さらに、本研究領域の成果は広範な応用に発展させることが可能であり、我々の日常生活を支える基盤技術に2.5次元物質が用いられることで、将来的な社会変革につながるものと期待できる。